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気が向いたときに、ぼんやりとエントリするブログです。Twitterで書き切れないことを書きつける場所にしています。

移民の季節

 「○○大学○○学部に入学します。今年入学のひと、フォローください。」などのツイートやらプロフィールやらを、Twitter上などでよくみます。こういう告知的なものは、おそらく Twitter や LINE 以前からあったのだと思います、たとえばmixi(笑)とか。

 しかし、こういう行動に出る人たちは、どういう行動原理に基づいて早い時期から(下手すると、推薦で合格が決まった者たちなどは前年の12月頃から)動き出すのでしょうか。つながらなければ生きていけない、などというナイーヴな問題だけでは動機としては弱いです。それだけではないでしょうから、もう少し考察してみましょう。

 

 早くつながりをつくることのメリットはなんでしょうか。早期に参入することでのメリットは何でしょう。まずは、入学初日から「ぼっち」状態を確実に回避できることでしょう。ですから、自分にとって安心できる環境、過ごしやすい環境を手に入れられることは、彼らにとっての利点と言えるでしょう。

 その副産物として、つながりに属さない者たちに対する優位が生まれます。ここからは全くの想像ですが、同級生同士でのつながりを持ち、また、web上である一定の層を持つ集団として行動している様がみえれば、先輩などからも早期から接触を受け、ある程度は大学内の情報も収集できているでしょう。結果的にカースト形成がなされ、新入生コミュニティの早期参入者には、その上位者としての位置が約束されるわけです。

 

 ここまで考えて、初期に参入した者がコミュニティのなかで大きな力を持つ構造、これは移民のコミュニティ構造とよく似ているのではないかと、私は考えました。

 はじめは、同じ大学、同じ学部、同じ学科というような、ある意味では公的なつながりを回路として、彼ら彼女らはつながりを形成していったでしょう。これは、全く新しい環境である異国へ移民した人々が、同郷であることや信仰を同じくすることを回路にして、協力・協働を前提としたコミュニティを形成していくことと似ています。

 それは、生活の為のつながりであることと、公的なつながりを基盤として一気に私的領域にまで浸透していく(例:仕事の斡旋と引き換えに、ファミリーの一員としての大きな協力を求められる)点において、移民コミュニティの性質とすごく似ていると感じるのです。おそらく、この手のコミュニティは「ともだち」や「グループ」の所属であることを盾に、多くの時間と労力とを提供するように要求してくるはずです。しかも、それは、彼ら彼女らが自らの生活を維持するためには断れない類の「お願い」でしょう。

 

 実際に生活を共にするまでは、ことばだけで物質的存在を伴わない関係ですから、そのような負担も少々だったはずです。しかし、これが実体を持つようになったときに、どのような関係が構築されるのか、わたしには想像できません。

 ただ、この集団は初期参入者が、後から参入した者たちを利用しやすいシステムであると推測できます。初期参入者が安心して過ごしやすい大学生活を送れるように最適化されたコミュニティですから、いかに後から来た者が抵抗しようとも、その人らは利用される側にしかなり得ないのです。利用されないためには、別のコミュニティを作るなどの選択もあるのでしょうけれども、その先の話はまた機会があれば。