先週はわりと真剣に予想をしたのだけれども、結果は渾身の◎ミスターメロディが4着という結果。
かなしみにうたれた私は京王線に乗ることができず、是政まで歩き、西武多摩川線に乗った。あきらめきれない思いをかかえたときや、競馬の余韻を少しでも長くもっていたいときは、こちらから帰るのだ。
ミスターメロディについては、距離がわずかに長かったことと、騎手を信じたことがよくなかった。スキャットダディ熱にうかされて冷静さを失い、いずれの要素も充分な不安要素であったにもかかわらず、予想に組みこまなかった点を反省しよう。
帰り道といえば、府中本町の駅へむかう途中にある酒場や、正門前の改札横にある酒場がずっと気になっているのだが、なんとなく入りづらい。
とくにタマモクロスやオグリキャップ以前、40年以上前から毎週かよっているような、髪の毛も芦毛になった男性と店の主人とが親しげに話している様をみると、そこにはとても入りこめないと思ってしまうのだ。
最近のヴィクトリアマイルも、常連の目立つレースだ。
2012年にこのレースを制したホエールキャプチャは、2013年も2着。そのときに勝ったのがヴィルシーナで、翌2014年も優勝。2015年、2016年はストレイトガールが連覇。昨年優勝のアドマイヤリードが今年も参戦。流れからいえば彼女の連覇を期待すべきなのだろう。しかし、昨年2着のデンコウアンジュも黙ってみているつもりはないはずだ。
常連の層は厚く、なんとも入りこみにくい。
そうして常連ばかりを相手しているうちに、客はじわじわと減っていく。芦毛のオヤジもいつかは死ぬ。世代交代を進めなければジリ貧になり、店はつぶれてしまうだろう。
だから、ヴィクトリアマイルだって、いつまでも「昔の名前ででています」では許されまい。
昨年の秋華賞が終わってから古馬牝馬路線に参入してきた組で、最も注目すべきはミスパンテールだろう。牝馬限定の競走ばかりとはいえ重賞3連勝の勢いは、ここでも無視できない。先週もディープインパクト産駒がNHKマイルCだけでなく、英国2000ギニーにも勝利。日本を代表するばかりでなく、世界的種牡馬への一歩を踏みだしたともいえる。
ただ、忘れてはいないか。ディープばかりがナンバーワンではないのだ。
今回の出走馬の父親に、さらにスケールの大きなナンバーワンサイアーがいるではないか。
タピットである。
その仔、ラビットランは昨年のローズSで「一躍、秋の主役へ」といわれるほどの鋭い切れ味をみせたのだ。しかしながら、その後がふるわない。今回に至ってはもう、皆から完全に忘れられてしまいそうだ。
ただ、前走と前々走は緩やかな流れでレースが進んだために、地力で勝負をするようなレースにならなかったのが敗因だろう。アメリカ仕込みのパワープレーで攻めるには、前半のペースが遅すぎた。しかしながら、今回はGI。しかも、今週の府中の速い馬場であれば、レースが生命力の削りあいになる可能性は充分にある。そうなれば、彼女の鋭い末脚が再び爆発する確率は高まる。
しかも、今回はローズSの施行された阪神1800m外回りと同様に、コーナーは3・4コーナーだけの1ターンであるから、これもラビットランに有利であろう。中山や京都の内回りのように、器用に脚を使うことが求められるコースではなく、一気の差し切りで勝ち切れるコースに変わったのは大きい。
◎ラビットラン
◯ミスパンテール
△アドマイヤリード
△アエロリット
アドマイヤリード以下は、府中マイルとの血統的な相性で決めた。
クロフネ、ステイゴールド、メイショウサムソンは府中マイルでの良績が多く、積極的に狙いたい。ダイワメジャーはマイルでの地力争いになったとき、非常に強い。これも狙いたい。
一見すると、やぶれかぶれにもみえる予想だが、ハイレベルな時計勝負、そして地力に頼らなければならない展開になったならば、最後は過酷なアメリカ競馬で力を発揮してきたタピットの血が勝利をひきよせるはずだ。