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きょうがすべて

 これが最後のダービーかもしれないと、思うことがある。

 それは競馬がなくなるとか、じぶんが死ぬとかそういうことではなくて、この国の競馬の質が大きく変わって、ダービーがダービーとしての機能を果たさなくなるのではないか、ということだ。

 

 競馬は、競走がそのまま生存競争として機能する。能力を発揮できない血は淘汰され、やがて闇に葬られる。ただそれは、ふさわしい馬が、ふさわしい形で、ふさわしい場にあらわれるときにのみ、その機能を果たすのだ。

 出られる資格があり、出られる状態にある、それなのに「人間の都合」で出られないのでは、意味がない。

 平成終わりの日本競馬は、そういった「都合」が渦巻くなんとも味の悪いものである。その味の悪さが噴出したのが、2019年のクラシックロードだった。

 ダービーまでは人馬一体。そこまで共に積み重ねてきたさまざまが、府中の芝に結実する。そこまでの物語の糸が編み出す文様が、われわれの心を動かすのではなかったか。

 そういうものでなければ、ダービーには意味がない。ほかのレースと変わりはない。

 だから、今年は人馬の物語がある馬を応援しようと思う。

 

 ◎リオンリオン

 〇エメラルファイト

 

 父から子へつながれた希望を胸に。師匠から弟子へ託された期待を胸に。

 寺山修司はいう。「歴史はダービーによって占われる」と。

 令和の競馬、その運命がきょう決まる。