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気が向いたときに、ぼんやりとエントリするブログです。Twitterで書き切れないことを書きつける場所にしています。

新型コロナウイルス感染拡大のなかで思うこと

 また、限られた人たちにメッセージをおくらなければならなくなった。

 一刻も早く、平穏な世界が戻ることを願いつつ、新型ウイルス騒動のありさまを書きとめておく意味もふくませつつ、ここに残しておく。

 

 

 ごきげんよう、みなさん。心地よい風の吹く初夏をむかえたにもかかわらず、遠くへ出かけられないことは苦しいです。しかし、巣ごもり期間が長く続いているおかげで、勉強がどんどんはかどり、みなさんの知のストックもますます増していることと思います。

 

 新型ウイルスの感染が拡大する前の世界をふりかえってみれば、それはモノ・カネとヒトを高速かつ大量に流動させることを是とする世界でした。さまざまな仕事が「外部委託」されて、状況に応じて便利に雇用したり解雇したりする。あるいは「断捨離」や「ミニマムライフ」などということばがもてはやされ、モノやヒトをストックしないことが賢い選択であるといわれました。
 しかし、それを支えたフロー重視型の社会は、新型ウイルスの影響ですっかり機能を停止してしまった。社会システムにストックされていたもの、余剰や冗長性は「効率化」の名のもとに極端に削りとられ、その結果「予備」をもたない人々のくらしは瞬時に不安定になった。医療資源の不足はその一例であり、世界の状況を代表するものだといえます。


 それならば「ポストコロナウイルス」の世界を生きるために、反省とともにわたしたちが身につけるべきものは何か。それは時流に左右される軽薄なものではなく、長い年月を経ても不変で普遍である自然の摂理であり、また人類が蓄積してきた思想のなかにあると考えます。これまでも学校で提供され、これからも提供される教科学習の内容はそれらを凝縮したものです。


 この新型ウイルスがもたらす恐慌状態に乗じて、社会のさまざまをどさくさ紛れに改変しようとする者たちの言葉に動揺する必要はありません。十分な議論のないまま強行された制度変更が中途でつぶれてしまうことは、わたしたちがこの身をもって実感しました。
 妙な興奮をおびた小者の叫びに流されず、どのような世の中にあっても価値をもちつづける知識と思想をその身に蓄積することが、学徒であるみなさんにいま最も求められていることなのです。

 そうはいっても不安は多いでしょう。心細い思いをしている人もあるでしょう。その感情を無理に押さえつける必要はありません。いま抱いている思いや考えをメモ程度でもよいですから書き出して、目にみえるようにしておくことをすすめます。文字の形にしないまま、脳みそのなかで文章や言葉を組み立てたり推敲したりできる力をもつ人は稀です。文筆を生業にする人でもほぼすべての書き手が一度書き出して目にみえるようにしてから手なおししています。自分の心と思考を可視化して、ととのえるために書きましょう。


 わたしたちは不確かな世界を生きています。3か月前に今の状況を正しく予測する人がほとんどいなかったように、3か月後の世界がどうなっているか正しく予測することは至難のわざです。ならばわたしたちのとるべき態度は、自らの手で制御できるものに集中してきょう一日を生きのびること(あるいは、やり過ごすこと)ではないでしょうか。勇気をもってやっていきましょう。