残業手当はありません

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プレミアムが行方不明な件

 某M屋へ行ってきました。

 私は、牛丼に関しては原則Y野家派ですので、M屋へ行くのは久しぶりです。目当ては当然、この7月22日から発売となった「プレミアム牛めし」なるメニューを実食するためです。

 

 プレミアム牛めしhttp://www.matsuyafoods.co.jp/2014/07/17/2607/

 

 いわく、肉・たれ・みそ汁と店のベースとなる部分をすべて見直したというのがセールスポイントのようです。たしかに、M屋のみそ汁といえば「みその匂いがする熱い塩水」とまでいわれるほどの味気なさでした。また、丼たれについてもY野家の丼たれにくらべて若干ケミカルさのある味わいだった点は否めませんでした。肉については、私の鈍い味覚ではよくわからないのですが、やはり相当にパサつき感をおぼえていました。それらをすべて改善して、同業他店に差をつけようというのが建前でしょう。

 裏向きではおそらく、某マクドナルドが取り組んで大コケした客単価アップがあるものと思われます。実際、レギュラー牛めし並 290円から、プレミアム牛めし並 380円への90円値上げです。しかも「プレミアム牛めし」なのに、プレミアムでない牛めしとの併売ではなく、プレミアムがレギュラーを駆逐するかたちで登場しました。こうなると当然疑問が生じます。

 

 レギュラー価格がないときに、プレミアム価格とよぶことができるのか。

 (参考)premium [形容詞]

   1 品質がよくて高価な、高級な

   2 割増つきの値段

 はたして380円のものを、高級と呼んでよいものか。大衆的な価格ですから。 

 

 ちょっと考えれば、これが体よく値上げをするための口実であることがわかります。それはそうでしょう。ほんの少し目先を変えるだけで、単純計算で牛めしをオーダーする客の単価が80円上がるわけですから。

 さらに問題があるのは、おまけのように付属してくる「M屋特製黒胡麻焙煎七味」です。このスパイス自体は、非常によくできています。しかし、これを提供するために、今までなかった手順が客視線でも二つ追加されています。第一に、七味差しを一人に一つずつ提供しなければならないこと。第二に、プレミアム牛めしは、この七味の容器とあわせてお盆に載せて提供されること。これによって、店員の提供までの仕込み、下げの際の手間が増えることが考えられ、実際に私が行った店舗でも軽い混乱がみられました。手順が増えるとバイトが混乱して、待ち時間が増えたり、伝票を飛ばしたりすることが多くなります。

 そうなると、われわれの記憶にも新しい「S屋 パワーアップ改装頻発事件」の二の舞になりかねません。あれも、元々は牛なべの導入によるバイトの混乱から、提供時間が極端に遅くなったり、それこそ伝票が通らないなどのトラブルが頻発して、それに耐えられなくなり大量離職したというのが顛末なのだそうです。M屋が同じ末路をたどらなければよいですが。

 

 そう考えると、もはや日常にある100円単位の買い物にでさえ「プレミアム」の語が登場している現状は、なんとなく寒い時代のような感じがします。「Sブンプレミアム」などは、その典型かもしれません。もはや、プレミアムは家出をしたのはないかという勢いです。何をもってプレミアムとすればいいのか、完全に価値が混乱しています。

 肝心の味ですけれども、まあ微妙においしくはなっていると思います。みそ汁も多少ほんだしっぽい味がするようになりました。丼たれも、ちょっと甘めに作られたナチュラル感のある工夫された味わいだと思います。肉は、多少やわらかさが出たかなという感じでしたが、大きな変化を実感するほどではないと感じました。やっぱり牛丼はY野家ではないか、ということです。