30代ポストドクター男子の経済的、精神的に不安定な生活を垣間見ることができます。
研究者になる気を失くさせ、あるいは、足抜けするタイミングを逃して学術研究という人生の泥沼へ入りこんでしまった、主人公と同様の悩みを抱える者をさらに意気消沈させる素晴らしいまんがです。(一応、ほめています。念為。)
このまんがの隠し味のように機能している、主人公の経済的な不安、将来のキャリアへの展望をまったく持てない悲哀、しかし、それでもコツコツと実績を積みあげていくことの重要さを身にしみて感じる若手研究者のリアル、これをスパイスとしてではなく、メインに読みたい自分が確かにいるのです。
実際の研究からはすっかり離れてしまった私なので、いまでも命を削りながら研究をしている人たちを思うと、なんだか逃げ出した者の後ろめたさのようなものもあるけれど、それでも、このまんがのなかで教授たちや主人公、あるいは他の大人キャラたちがいうようなことばに、仕事をするとき、研究をするときに必要な考えや哲学を感じるのです。