残業手当はありません

気が向いたときに、ぼんやりとエントリするブログです。Twitterで書き切れないことを書きつける場所にしています。

人間は3ヶ月で他人にもどる。

 仕事を休んだ。いまの仕事をするようになってから、このままではこころがこわれるからと予防的に休んだのは初めてかもしれない。少なくとも記憶にはない。(とはいえ自分の記憶などあてにならず、都合よく改変しているものだから、そうと意識していなくても逃げ出すように休むことはあっただろうけれど)

 なにか目的があって休むことはあった。いわば前向きな休みというやつだ。どこかへ旅にでるから、どうしても観たいものがあるから、仕事をやすんででもやりたいことがあるから。そういう気持ちで休みをもらうことはあったけれど、今回のように、とにかく逃げだしたくて、なにもしたくなくて、しごとをわすれたくてあてもなく休んだことはなかった。(それでも職場からメールはくるし、同僚からLINEもくる。ほんとうに逃げるためには携帯電話も捨てなきゃならない。ついったらんどにあそぶことで、精神の均衡をたもっている私には無理な話だがね)


 ここまで追いつめられてしまうのだから、原因はひとつではないはずだけれども(モラハラっぽく圧をかける人が職場にいて、過去にご自身が負ったのであろうトラウマを自分以外の人間をもたなければ不公平だという強い使命感に駆られて、きょうもじんわりと嗜虐的なコミュニケーションをしているのに堪えられないことはさておき)一番大きな原因は、やはりオンライン授業だった。

 うちの学校は(職場、とかぼやかしていたのに授業の話に結局なるのだからまったく無駄な努力だった)7月のアタマに期末試験をするので、そこから9月の授業再開まで2ヶ月まるまる通常の授業がなくなる。夏期講座などはあるのだけれど、レギュラーの授業は9月に入ってからだ。しかし今年は、その9月アタマからさらにひと月オンライン授業になって、生徒と対面の授業をする期間がなくなってしまった。つごう3ヶ月、授業の場を共有することがなくなってしまったのだ。


 そして、すっかりリセットされた授業環境。4月に戻ったかのような、よそよそしい空間で秋を過ごさなければならなくなった。それでなくても秋シーズンはきつい。部活の大会、学校行事も多くて事務が多い。入試業務もあって生徒と向き合う時間はさらに減る。それでも生徒の生活がきちんと枠づいていて、自走していてくれるならば少々離れていても不安は少ない。しかし、今年は10月になってふたたび4月をやっているような不安がある。

 ふりかえって9月はずっと、オンライン授業の仕込みをしていた。予習して、動画を作成して、解説の音声を入れる。対面の授業ならば後のふたつは教室で行うものだから、オンラインになって加わったものだ。ならば3倍量の仕事を毎日やっているのと同じだ。体力も気力も著しくけずりとられてしまった。そしてどうにもこころが無理になった。


 ようするにつかれたのだ。わけもわからず突然かなしい気分になったり、ほんの少しのことですべてを投げだしたくなったりして、もう職場にいられないような気分になった。いまも明日からしなければならない、残してきた仕事のことを考えはじめてしまってまた少しこころがかたくなっている。明日の自分が、朝どんな気分で目覚めるのかは正直わからない。ただ、昨日の朝より少しでもましな気分でいればいいと願って、ベッドに入ることにする。